在キューバ日本国大使館は2026年6月3日、同月6日以降キューバ国内において米Visaおよび米Mastercardの発行カードによる決済サービスが全面停止されると発表しました。
これはキューバ中央銀行の布告に基づく措置であり、米国トランプ政権による対キューバ制裁強化の直接的な帰結のようです。
渡航者に対する現地通貨の現金持参呼びかけは、同国における決済インフラの機能不全を如実に物語っている。
米政権による経済制裁の刷新と決済網遮断の経緯
今回の決済停止措置は、米国の対外政策における経済制裁の厳格化が背景にあり、トランプ米政権はキューバに対するテロ支援国家指定の継続および経済封鎖の網を拡大していて、その一環として国際決済ネットワークを担う米金融大手への圧力を強めてきていました。
金融制裁の国際的な波及力は極めて強く、外貨獲得手段や国際送金ルートを制限されてきたキューバ経済にとって、二大決済ネットワークからの排除は決定的な打撃となります。
米金融機関との取引が法的に制限された結果、キューバ中央銀行は国内決済システムの運用変更を余儀なくされた。
観光セクターへの打撃と二重通貨制度廃止後の混乱
本措置が及ぼす最大の懸念は、主要な外貨獲得源である観光産業への深刻な影響で、外貨決済の利便性が失われることで、欧州やアジアからの渡航者が激減するリスクが生じています。
また、現地での決済手段が現金(米ドル、ユーロ、またはキューバ・ペソ)に限定されることは、治安悪化の懸念や闇為替市場のさらなる肥大化を招く可能性が高く、過去に行われた二重通貨制度(CUCとCUP)の統合以降、同国はハイパーインフレと物資不足に苦しんでおり、決済のデジタル化逆行は国内経済の混乱に拍車をかける要因となりそうです。
地政学的ブロック化と代替金融ネットワークへの転換
今後の焦点は、キューバ政府がこの金融的孤立をいかに回避するかにあり、米決済網からの排除は、同国がロシアの「Mir」や中国の「銀聯(ユニオンペイ)」といった代替決済システムの導入、あるいは暗号資産(仮想通貨)を活用した独自の金融ネットワーク構築へ傾斜する契機となり得る。
しかし、これらの代替手段が米決済網の穴を完全に埋めるには至っておらず、国際金融システムにおける地政学的ブロック化を加速させるに留まる。
制裁の長期化が予測される中、キューバが国際決済の構造的転換へどう適応し、持続可能な外貨循環を確保できるかが今後の重大な課題となっています。
